コラム「猫の手も借りたい」№105 寄り添って
勤務から帰ると、リビングやお風呂場にある布製の「マット」が、ぺろりと端がめくれ、折れていることが時々ある。 あら?とそっと折れたマットをめくってみると・・・ ちいちゃなウンチがしてある。
その時タマは、隠れて姿を見せないか、「家政婦はみた」みたいに、家具の陰に隠れちろちろこちらの様子を窺っているか。 私は「タマ、大丈夫よ~」と言いながらそっと片してしまう。 しばらく経つと、彼女は出て来て甘えたそぶりを見せるのだ。
昔は、まったくこんなことはなく、ここ2年ほどであろうか。 高齢になり、トイレの砂の上で踏ん張ることが難しくなって来ているため、と思われる。 そう、ちっとも面白いことではないのだ。
タマも15、6歳(推定です)、そろそろ老境に差し掛かった。 私をあっという間に追い越し「おばあちゃん」になってしまっている。
このところ、寝ていることがとても多くなって来ていた。 だが、食欲はあり体重は4キロ、毛並みもふさふさ美しい(親バカですいません)。
相変わらずステロイドの投与は続いており、毎日きっちりとカプセル入りの薬は飲ませなくてはならないし、慢性腎不全を発症しているので、数日に1度の補液はかかせない。 それでも元気につつがなく毎日を過ごせているのは、彼女をバックアップして下さっているドクターとスタッフの皆さんおかげと、本当に感謝している。
思えば、雪の降る中、隣家の室外機の上で、雪を被っていた彼女。雪は全身に降り積もっていて、見るに堪えなかった。 「うちの子になる?」と自宅に招き入れたのは、10年も前のことになる。 来てから元気でいたのは、ほんの2年ほど、その後は大きな病気続きで、ホームドクターの紹介で何度も大学病院の門をくぐった。
彼女はつらい手術や入院、投薬に耐え、今も「へっちゃら」で生きている。 彼女の強い意思には驚くばかりである。
そんな彼女も年齢には勝てないに違いない。 私としては彼女に寄り添い、一日でも楽しく過ごして行きたいものだ。
話を戻すが、マットの上のちいちゃなウンチ。 「あらあら」と片付けようとしたその時に携帯が鳴った。 10分ほどで電話を切り、マットに再度目をやると・・・・ また、マットが折れて、ウンチは隠れていた。なんと可愛いことであろう。 タマは気にして、また隠しているのである。
タマ、ありがとう。