コラム「猫の手も借りたい」№200 Hidy! Hera Rascal~♪

天気が悪くない時は、毎晩散歩に出る。
高齢者にならんとする自分のための、健康維持の一環である。
つい最近までは暑い日が続いたので、とても日中は出られず、夜の涼しい時間帯を選んで出ていたら、この時間帯の日課になってしまった。
その日も深夜12時くらいに、とことこ歩いていた。

歩道を進んでいた。左に脇道があり、何気にそちらを見ると、2匹の犬が目に入った。
あれ、こんな夜中にリードも着けずに散歩?飼い主さんはどこにいるの?
と慌てたが、夜の街灯の下、眼を凝らすと、なんとアライグマだ、それも2匹。
最初は、犬?と思ったが、あ、違う、タヌキ?いや、タヌキじゃない。
この、サングラスをかけたような、ちょい悪っぽく見える顔つきと、タヌキとは違う、物がつかめそうな器用そうな足先、これはアライグマだ!と判った。

自宅付近でのアライグマの目撃情報はあったので、生息は認識していたが、、、びっくり。

さて、ばったり出会った形になったので、お互いハタと見合ったまま、しばらく動かず様子を見ていた。
お互いがである。
私が思わず、声をかけた。とたんに若そうな方の1匹が、踵を返しタ~ッと走っていったが、もう1匹の年長に見える方は、そのまま様子を伺っていた。
私がそろそろと近づくと後ずさりしながら、脇のお宅のジャバラの門扉の中に逃げ込んだ。
逃げ込んだものの奥まではいかず、すぐ傍で私を見ている。
しばらく観察させてもらったが、さすがに諦め、闇の中に消えていった。
なーんか楽しい時間だった。

2匹とも立派な体格で肥っており、特に年長の方は「一度、BMI測った方がいいと思うよ」とアドバイスしてやりたいくらい(笑)。
しかし、可愛いお顔である。自宅周辺は、タヌキ、ハクビシンも生息しており、ハクビシンはけっこうな頻度で見かけるが、アライグマは初めて。
近所のお宅の、耳カットのネコさんのごはんを、気が付いたらアライグマが横取りしていた、と聞いた。
雑食性だから、キャットフードもOKなわけである。
考えてみたら、「アライグマ ラスカル」にだって、アライグマ(まあ、ラスカルですが)が農作物を荒らす動物であることは出てきた。
ペットとして飼われ、逃げ出したり、飼いきれず野に放たれたりした個体が繁殖し、ここ都会でもやっかいなことになっているのは、みなさんご存じかと思う。
しかし、そんなことはお構いなしに、彼らは自分に都合のよい場所で、毎日生きている。

私は「しろつめくさの 花が咲いたら~♪」と鼻歌を歌いながら、そのまま散歩を続けた。
そのうち、また会えるかな?

2020年9月 くどいけいこ