コラム「猫の手も借りたい」№171 高齢者の方とペット

つい先日テレビを見ていてたまたま目にした番組。
それは、犬や猫などのペットを高齢者が飼育することで「認知症」の防止になる、というもの。
なんでもペットと接触していると「オキシトシン」というホルモンの分泌を促すという。
このオキシトシン、「幸せホルモン」などど呼ばれ、このところ注目を集めている。
このホルモンのお陰で、
・幸せな気分になる
・脳や心が癒され、ストレスが緩和する
・不安や恐怖心が減少する
などの効果が表れるということで、これが、なんと高齢者の認知症予防にも効果がある、ということであった。

もちろん、ご家族がカバー出来る場合は良いが、そうではない高齢者さんの場合の飼育はどうだろう。
すでに獣医さんが高齢者に対し、保護犬や猫をお世話(譲渡)し、のちのち高齢者の方が飼えなくなったら、責任を持って獣医さんが引き取る、という取り組みもなされたり、
単身の高齢者で、外出が困難でペットを病院に受診させられない方のために「往診」の制度を設けている病院さんもあるそうだ。
素晴らしい取り組みである、と思うと同時に、広く一般的な実現に向けてのハードルはまだ高いのでは、とも思った。

人目線の部分では「認知症」の防止に繋がるのは嬉しい話だが、ペットの目線でもクリアしなくてはならないこともあるからだ。

私が一番気になったのは、傷病を発症したペットの「投薬」である。
この番組中では触れられてはいなかったが、これはなかなか厄介なことで、ペットに1日1回とか場合によっては朝晩とか、薬を飲んでもらわなくてはならないことがある。
薬だけではなく、糖尿病などの疾患があればインスリン、慢性腎不全であれば脱水を管理する補液が必要になったりもする。
もちろん、それは飼い主さんが選択する「治療方針」によっても異なってくるわけで、それは高齢者さんに限ったことではなかろうとも思う。
要するに「往診」で時々ペットの健康状態をチェックするだけでなく、病気が見つかればその対応も必要になるわけで、投薬治療をしてやりたい、と思ってもそれが難しい高齢者さんはどうなるのか。
その場合、シッターさんによるペットの投薬、更には必要に応じて爪切り、ブラッシングなどのケアが必須になるだろうし、費用も嵩むことになる。

最終的に、飼い主さんがこれ以上は飼育が難しいと判断出来る状況なら良いが、飼い主さんでは判断できなかろうと思われる場合どうなるのか、その「判断基準」はどうするのか。
番組でも「飼えなくなったペット」の引き取りの問題は指摘されていた。
動物管理をつかさどる行政や、NPOなどの支援や活動が必要になるであろうと。

いずれにせよ、高齢者の方自体、ケアサービスなどの公的な支援があり、その中でのペット飼育であるならば、これ以上は無理、というガイドラインを決め対応しないことには「人目線」だけの高齢者対策になりかねない。
今後の対策が待たれる案件だ。

2019年3月 くどいけいこ