コラム「猫の手も借りたい」№204 トラミにゃ勝てないわ3

夕方、主治医から連絡があり、飛んで行った。

入院ケージの中のトラミは、横たわっていて今にも死にそうだった。
それでも、私が見た一週間前の姿よりキレイになっていたので、病院のスタッフさんが顔や体を拭いたりして下さったのだ。点滴のチューブが見えた。

血液検査の数値は意外によく、しかしアンモニアと炎症数値が大きく振れている、という。
体重は半分まで落ち、低体温にもなっていた。

なんともいえないが、全力を尽くします、とのこと。
つまりは助からないかもしれない、ということである。

点滴が入っているので脱水が緩和され、当人は少し楽だと思う、とのこと。
ぐったりしているように見えた。目もうつろ。トラミと呼ぶと、にゃ~と返事が聞えた。

それから毎日面会に行った。

翌日、目の感じが違ってきた。光が戻った感じ。一日でもこんなに違うものか。
アンモニア数値は、正常値に入ったとのこと。へー、びっくり。どこにそんな余力が残ってるんだか。
炎症数値は依然高いまま。エコー検査で確認する、ということになった。

3日目、ちょっと「シャー」という。あら、本性出てきたな。
エコー検査の結果、膵臓の腫れが見られ「膵炎」との診断。痛み止めと炎症抑えの投与が開始されており、本人さらに体は楽になってきているのでは、とのドクターのお診立て。
ずっと胃に食物が入っていないので、少しずつ口から流し込んで行く、とのこと。
ケージに目隠しのカーテンを付けていただいた。その方がトラミは落ち着きそう。
この頃からは、助かりそうな気配がしてきた。

4日目、シリンジ(注射器の針を外したやつ)で口に入れるフードは、キレイにごっくん、できているが自力では食べない、とのこと。
表情は、警戒の眼付き、はー、すごいなあ。慣れない病院だもんね。

変化があったのは6日目。
自力で食べない彼女のために、大好物の鶏肉の素茹でを持参して、ドクターにOKをいただいて彼女の口に運んでみた。
いきなりはシャー(笑)。ドクターのお話では「最初は必ずシャーなんですよ(笑)」、とのこと。
もともと、トラミは私の手からフードは食べたことがない。必ず前に置かせ、それを食べていたが、今回は手から食べさせてみたが、なんと食べたではないか。
「おかあさん(私ですね)が、食べさせた~」ことになり、診察室に明るい空気が流れた。そのまま、普通のフードを容器に入れてスタッフが出して下さったが、それも食べてくれ、みんなで「よかったー」と。

ここからは順調な回復を見せた。

2020年11月 くどいけいこ