今から30〜40年前、昭和50年代から60年代にかけて、今のような野良猫の問題はなかったような気がする。ある意味、うまいバランスで共存してきたのだと思う。今と昔、どんなことが違うのか、あくまでも個人的な感覚で書き出してみる。

 

(1)猫の目撃頻度
昔も野良猫はそれなりにいたと思う。でも、その多くは単独行動で、人間に近づいてくるようなことはなく、物陰から物陰へとささっと移動するような警戒心の強い猫だったような気がするのである。
→ 今の都市部の猫たちはえさをもらうことで人間に慣れ、近くに寄ってきたり、人間が近づいても逃げなかったりと、猫との間合いは近くなっているのではないか。猫をよく見かけると感じるのは、この猫との距離が近くなったことが原因の一つと思われるのである。

 

(2)猫のえさ
当時は庭にやってくる猫に「ねこまんま」という味噌汁かけご飯を食べさせていた。
→ 「ねこまんま」は塩分が強く栄養に偏りもあるため猫の体には負担が大きく、昔の野良猫の寿命は短かったと言われている。えさを与えているお宅の数は、今も昔もそれほど違いはないような感じがするが、今、ほとんどの猫はキャットフードを与えられ、一部にはカリカリにさえ見向きもしないというグルメな野良猫もいると聞く。また、大量のキャットフードを与えられ丸々と太り切った肥満体型の「野良猫」を見かけることも多くなった。

→ 野良猫の寿命は3〜5年程度と言われてきたが、最近では20年以上も生きたも個体もあると聞く。長寿命化が進めば、出生数、出生した猫の生存率が変わらなくても、猫の個体数は増加していることになる。

 

(3)オシッコ・ウンチ問題

畑や空き地の多い状況であれば、オシッコもウンチも人家の周囲で行われることはない。

→ 明らかに猫の個体数が増え、その分だけオシッコもウンチも増える。しかも、宅地化の進行に反比例して畑や空き地は消滅し、猫の快適なトイレは失われている。そうすると、庭の柔らかく土がほぐされた花壇は絶好の猫のトイレとなってしまうのは、当然の成り行きである。

→ でも、猫はいろいろなものの植わっている花壇より、サラサラの砂やふかふかの土を好む。人間だって、狭いトイレより、広くて明るく、きれいで快適なトイレが気持ちいいわけで、猫だって同じなのである。このため、公園や学校の砂場が格好のトイレとなってしまっている事例を良く見かける。

 

(4)ねずみの量と捕獲

昔は捕まえたネズミを誇らしげに咥えた猫、骨だけになったネズミの死骸を結構見かけたような気がする。猫はトラやライオンと同じ種目の肉食動物であり、「ねこまんま」の栄養価では動物性蛋白質が足らないため、ネズミを捕まえて食べる必要があったと言われている。

→ 衛生状態が良くなったこともありネズミの数自体が減っていることは事実らしい。また、高機能・高栄養なキャットフードの普及もあり、猫がネズミを食べる必要性が減少していることも確かである。このためか、ネズミに見向きもしない猫もいるし、ありったけのえさを食べ尽くした肥満体型の野良猫は俊敏な動きのネズミを捕まえることはもう無理であろう。

 

(5)平均気温の変化

「日本の年平均気温は、長期的には100年あたり約1.16℃の割合で上昇しており、特に1990年代以降、高温となる年が頻出」(気象庁HPより)とのことで、過酷な冬の寒さが和らいでいることは外で生活する猫にプラスに働いていると考えられる。

→ 気温の上昇は夏の過ごしにくさに影響があるので一概には言えないが。。。。

 

(6)子猫の出生数の増加(年間出産回数の増加)

これまで、猫の妊娠出産時期は春〜初夏と晩夏〜秋の2回とされてきたが、近頃は1年に3回出産する野良猫や子育てをしづらい真冬に妊娠出産する野良猫も見かけるようになった。出産回数の増加の分だけ、猫の出生数は増えていると考えられる。

 

(7)出生した猫の生存率の上昇

野良猫の子猫の生存率は2割という話がある。しかし、人口が増加とともに建物も増え、猫が子育てができる場所も増えている。交通事故など不慮の事故にあったり、カラスなどに狙われたりなどもあるだろうが、外敵から身を守ることのできる場所が増えたことにより、生存率の増加があるように感じるのである。

実際に、2〜3匹にえさをあげていたら1年ちょっとで10匹超に増えてびっくりしてしまったという相談が目立つことからも、子猫の生存率は5割以上のケースが増えているのではと思われる。

 

人間の生活環境と周りにいる猫への対応の変化に合わせて野良猫の生活環境も変化してきているのである。

(続く)

 

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