コラム「猫の手も借りたい」№107 仲良しガールズ

image1暖冬だと思っていたが、暮れに向けやっぱり寒くなった。そうは問屋が卸さないらしい。 こうなると寒い。
屋外にいるだけで冷蔵庫の中にいるようだ。 空気も乾燥して、粘膜をやられるから風邪を引きやすくなる。

空気の乾燥と言えば、火事も出やすい時節。 町会では有志による「火の用心」の町内パトロールが始まった。 ありがたいことだが、この「火の用心」の拍子木のカチカチという音と、「火のよーじん」という人の声が猫は苦手でピューっと飛んで逃げる。やれやれ。 なんとか、見回り隊の合間を縫っての餌ヤリである。

ここに来て、うちの庭の図式が違って来た。
うちは、総キジ(全身キジ模様)のトラミちゃんと、真っ黒のクーちゃん(前足を骨折した子 アーカイブの「うらめしや~」をご覧下さい)、の仲良しガールズ2匹が常時うちの庭で暮らしていて、この子たちは元気でガードも固く、他の猫を寄せ付けない状態であったが、仲良しガールズも寄る年波には勝てず、トラミちゃんはぜーぜーと喘息のような症状が出始めており、私も心配しながらの給餌を続けていた。
気が向いた時にしか来なかった9歳のキジシロのオス「なっちゃん」が、今冬はなんだか足繁く通って来、なんと、うちの階段下のハウスを1個、占領してしまった。2匹の縄張りをである。
トラミちゃんは、寒いとハウスに入っていたが、なっちゃんが来てからというもの、ハウスから出て来たところを見なくなってしまった。 元々仲良しガールズとは敵対関係もなく、一緒に給餌しても問題はなかったが、ハウスは一緒だったことはない。

私は、どうしたもんだか、と頭を悩ませ、最初はなっちゃんを移動する作戦に出てみた。 すぐ近くのお宅にハウスを数個置かせて貰っており、そこにはなっちゃんの兄弟の「しんちゃん」も来ているので、以前はそこでなっちゃんをよく見かけたのであった。
さて、彼を美味しいもので誘い、そのハウスへ。そこに「美味しいもの」を置いてみたが上手く行かなかった。

本当に猫たちって、人が考えるほど上手く行くもんではない。 ハウスの数は足りているから、ここにはあなたが、そちらには君が、って割り振りしてもダメ。 猫たちの都合だから、なっちゃんがうちのハウスに移って来たとて、なっちゃんを責めても仕方がないのだ。

様子を見ていると、クーちゃんは別のネグラがあるらしく、うちのハウスはトラミちゃんのみが使っているようだが、なっちゃんが来てからはいつもハウスには入らず、お隣の室外機の上。私が行くと、なっちゃんがハウスから出て来て「にゃーん」と鳴く。はー。

トラミちゃんは室外機の上で寒そうに丸まり、食欲が落ちて来た。その上、ぜーぜーという呼吸の苦しそうな様子をみると、本当に眠れなかった。 トラミちゃんは「くしゃみ」も始まったので、投薬に踏み切った。食欲も落ちているから、餌に混ぜる投薬しかない彼らは、食べなくなったら薬すら飲ませられない状態になるので、とにかく食べるうちに薬を使うようにしている。

そんな中、ある朝、室外機の上に彼女の姿はなかった。え゛、とぎょっとし、どうした??!!と。そしたら「にゃーん」とハウスから出て来たなっちゃんに続き、トラミちゃんもハウスから出て来、ノビをしているではないか。あー良かった、折り合いつけたのね、あんたたち。

しかし、トラミちゃんもおばあちゃん、今冬が越えられるのか心配は尽きないが、寄り添ってやりたい。

私も年末から体調を崩し休んだりしていた。本当に寄る年波に勝てないのは猫も人も同じであるが、なんとか正月明けからは仕事には出られそうである。

それだけでも「よし」としましょう。

今年も、よろしくお付き合い下さいませ。

 

2016年1月 くどいけいこmachi_beret - コピー