コラム「猫の手も借りたい」№93 じんべえ 中

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さて、それからじんべえはすくすく成長した。
初回ワクチンもし、生後1年になる前に去勢手術もした。


時々だが、お父上が体調を崩され友人が実家に立ち寄った時に、じんべえの様子が私の耳にも届いた。
弟さんもいらっしゃるので、何とかなっていたが、その後ますます高齢になられたお父上は時々入院されるようになった。
運悪く弟さんも体調を崩され、お二人とも入院という事態が起こった。
友人は毎日ご実家。じんべえの面倒を見にである。
実家の様子を見るに、清掃も行き届かなかったり、冷蔵庫の中を見ると食の管理もおろそかになっていたりもあったようで、フードと水はあるもののブラッシングもされず、かまってもらえないじんべえを見るにつけ、これはなんとかしなければ、と彼女から相談が来るようになった。
もし、二人の入院が今後増えるようなら、じんべえのこれからを考え、里親探しをしてくれないか、というものだった。
その時、じんべえ2才。

友人宅ではシェルティー(犬)を飼っており、残念だがじんべえを家族に迎えることが出来ないとのことであった。

しばらく経ったのち、彼女から正式に里親探しの依頼が来た。

依頼があった時は、折しも里親会を数日後に控えていたので、里親会へのエントリーをおすすめしたが、残念ながら里親会当日はすでに彼女は予定が入っており、じんべえを会場に連れて行かれないとのこと、とにかく写真とプロフィールを伝送して、とお願いした。

里親会当日、お陰様で大勢の方が来場して下さった。ありがたいことである。
皆さん、ケージに貼ってある猫たちのプロフィールを近づいて読んで下さったり、実際に抱っこしたり、で猫たちの前は人垣が出来ている状態。

そんな中、女性とお母様と見受けられるお二人がいらした。女性は30代だろうか。
お二人は、順番待ちをしていただいていたようで、少し人の波が引くまで店内のテーブルに着いていらした。
そこに、一足遅れで来たスタッフがバックから取り出したのが、じんべえの写真だった。

私は写真を受け取ると、最初に、テーブルに着いていらしたお二人の前に置いた。
「事情があり飼えなくなったロシアンブルーの男の子です。
仔猫ではありませんが、間もなく3才で、これから先が長いですから、里親さん探しをすることになったんです。」と説明した。

お二人は、写真を見たとたん驚かれ、二人で顔を見合し、何やら話されていた。そして何枚かある写真を次々手に取り、じっと眺められるうちに、お母様ははらはらと涙され、今度はこちらがびっくりした。

続きます。

2015年2月 くどいけいこmachi_beret - コピー