コラム「猫の手も借りたい」№89 九ちゃん 上

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新しい年を迎えました。今年もよろしくお願い致します。

しかし、なんて寒い正月。 外の子には受難の冬だが、こればっかりは致し方ない。幸いにもうちの連中は食欲もあり元気に過ごしている。
冬場はとにかく食事を待たせない。

賢い猫たちは食事時間が近づくと思い思いの場所で、なるべく寒くないように風が当たらないように待っている。 ところが、私の姿を見つけると我先に食事を貰おうと、寒い場所に出て来る。

ここで待たせないように帰ったらまずは餌ヤリである。さっさと食べて温かい場所へ移動して欲しいから。
また、カイロの季節。発泡スチロールのハウスと中敷きのマットをシーズン前に取り換え、カイロは毎日チェンジ。少しでも寒い冬を暮らしやすくと思う親心、って親バカ。

ヒゲちゃん母子に遇ったのは、確認したらばもう8年も前になるという。
仕事帰りだった。 白黒ブチ模様の仔猫、生後2~3ヶ月くらい、その仔猫の陰に同じ模様の母猫らしき姿が見えた。

仔猫は、立ち止まった私の姿を認めるとちょこまかと走って来た。可愛い。可愛いが、その仔猫の顔を見て苦笑してしまった。 鼻の下に立派な大きなヒゲを蓄えているのだった。そう、ご想像の通り太めの八の字のような「ヒゲ」の模様がありなんともユニーク。

え、男の子?と思ったが、この時点では不明。 この母子がいる場所は、公園の近くの公共施設の自転車置き場。屋根があり風も当たらず人通りも多い。その向かい側は大きなスーパーでもあった。だから車通りも多かった。
あらー、困ったなあ、というのが正直な感想。

仔猫は近寄ると、ちょこまか走って来たのに途中で立ち止まってしまう。必ずある程度の距離を置き美味しいものをくれるのを待っている感じだった。
その日はそのまま帰宅した。

さて、それから毎日その母子を見かけるようになった。 仔猫は比較的フレンドリーで、人の手からフードを食べたりはしないが、近くに置いてやれば喜んで食べた。 母親は警戒心が人(猫だった!)一倍強く、まったく近寄って来ない。

人通りも多いから母子と関わっていると、他の人とも関わることになる。最初はこの公共施設の守衛さん。
ヒゲ模様なんで「ヒゲちゃん」と呼んでいると、守衛さんが情報を下さった。 最初、仔猫は4匹ほどいたらしいが、次々と交通事故に遭い死んでいったらしい。いたいけな息をしていない仔猫が有り合わせの箱に入れられ、道端に置かれていたこともあったという。
ヒゲちゃんはきょうだいの中でたった1匹、運良く生き残ったのだ。

これは、仔猫だけでも里親探しが出来ないものかと、私は給餌を始めることにした。

ヒゲちゃん母子には、直接餌をやっている人の姿も見かけたし、自転車置き場に度々、こんもりドライフードが置かれたりした。ドライならまだしも、ウエットフードが近くの民家の塀の中に直接置かれ、掃除をしたくても出来ないこともあり、これは迷惑していらっしゃる方もいるなと頭を痛めた。だが推察すると、目立つ場所に居た2匹には、結構な数の人が関わっているようであった。

私は、母子やヒゲちゃんの写真を撮影し、ポスターを作ってスーパーの掲示板をお借りし貼らせていただいた。
皆さんが毎日見かけられている母子猫であること、仔猫のきょうだいは事故で死んでしまったこと、仔猫の里親探しに協力して下さる方のご連絡をお待ちしています、と結んだ。

続きます。

2015年1月 くどいけいこmachi_beret - コピー